工場・倉庫といった内部を飾る必要性のない建物を除き、壁紙の使用範囲は広く、オフィス・劇場・ホテル・店舗から一般住宅(戸建て、集合住宅)まで、豊富な商品群により、ほとんどすべての要求に手軽に応えることができます。そして目的とする仕上げ効果は、壁紙の場合、大きく二つに大別できます。
一つは、何らかの仕上げ効果の模倣や創造であり、もう一つは機能面の効果です。
いわゆる新素材・新建材というものが広く普及するようになって以来、これらが登場するきっかけは「天然素材よりも優れた物性で、しかもそれに近い色・柄・テクスチャーを持つ」という発想でした。
この発想の裏には、天然素材が高価であったり、供給が不安定であったりすること、さらには天然素材につきものの物性・効果の面でのバラツキといったことを、何とか解決したいという要望が、作り手と使い手の双方にあったことが挙げられます。
このため、開発される製品は、「安くて、物性が安定し、しかも天然に近い色・柄・テクスチャーと、それ以上の均質性を持つ」ものを目指してきました。
一般的に見て、この目標は「低価格化」「量産化」「物性の向上」の三点については、技術開発の進展により、ほぼ満足できる状況になってきました。
テクスチャーだけを取り上げれば、「本物」に近づける努力の結果、コストの上昇を招き、「安価」にという目標と矛盾することもあります。均質性を追うあまりに、逆に天然素材の不均質性による本物らしさを殺してしまうことにもなります。
現在、壁紙の生産・出荷量(日本壁装協会統計データ)の中で90%を占めているビニル壁紙も、車輛や家具に使われていたビニルレザーから転用されたものでした。
その後壁紙にふさわしいテクスチャーや柄、配色、施工性について改良が加えられてきましたが、
当初、壁紙の中で使用量が多かったのは織物壁紙でしたから、ビニル壁紙もビニルクロス(クロス=織物)と呼ばれ、今でも専業者の間ではこの呼び名の通りが良いようです。
特にビニル壁紙には、その素材の特性から、模倣しやすいという利点があり、様々な疑似製品を生み出しています。木・竹・杉網代・ピーリング・市松等の各種組み模様などの木質系の柄、大理石・御影石
などの石材風の柄、砂壁・京壁などの和風系の柄、メタリック調の柄など、多数あり、さらには織物のテクスチャーはをそっくりまねしたものもあります。
これらの製品の柄やテクスチャーは、優れた印刷技術やエンボス加工技術等により、一見しただけでは本物と区別がつかないほどの状態で再現されています。
こうした再現技法によって生産された壁紙は、天然品に比べて格段に安価で、しかも施工が容易であることから、予算上の問題や手軽さを要求される建築物に利用されています。
ほとんどの壁紙がこれに属しますが、重視しなければならない点は壁紙そのものの作り方や柄・色彩の出し方ではなく、その使われ方にあります。壁紙が使われるスペースなり部屋なりで、いかに効果的であるかが問題となるのです。
① 天然素材の効果
絹・綿・麻・葛布・毛・草織物、紙布などの天然素材を織物にした製品と、
各種銘木類のツキ板や薄くスライスしたコルクなどに裏打ちを施した壁紙類の持つ、素材を活かした効果のことを言います。
葛布・紙布・草織物の類は、民芸品の感覚が喜ばれ、かつてはわが国から輸出する製品のほとんどがこの系統の製品でした.
この他、自然指向として・麻・各種の和紙を張ることもあります。
② 色・柄・デザイン
ヨーロッパで発展した印刷紙壁紙は、当初は単色・単彩の簡単なデザインが多く、風景画・名画などを再現する壁紙は手描きによっていました。
その後、印刷技術の進歩によって、多色刷りの複雑なデザインを表現できるようになり、ヨーロッパ壁紙の黄金時代を築き上げます。
織物壁紙にも、織り方・染め方による表現の違いだけでなく、地布にプリントするといった方法で、より自由度の高い色彩とデザインが表現されるようになっています。
ビニル壁紙は、その特性から多種多様な色・柄・デザインが表現されています。
紙と同様にプリントすることができ、発色もよく、日常的な耐久性にも優れているため、効果が持続します。
ビニル独特の表面テクスチャーがエンボス加工技術などと組み合わさり、特にシンプルさ・モダンさの表現では、優れたものがあります。
③テクスチャー
テクスチャーという言葉は、ここでは一応単に手触りとか肌合いという意味としておきます。
織物壁紙は、その織り方によりさまざまな効果を生み出します。基本的な織物の三原組織は平織、綾織、繻子織と呼ばれています。平織が経(たて)糸・緯(よこ)糸の一本ずつ交わる最も基本的な織り組織で、以下順に複雑な織り組織となってきます。
従って、きめの荒いものからふっくらとした柔らかい感触まで、いろいろとあり、これに糸の密度、素材の撚糸の種類によって、さらに変化が生まれます。
紙壁紙やビニル壁紙には、平滑なものと、凹凸を付けたものとがあります。
後者がいわゆるエンボス加工で、エンボスの付け方とパターンが多数存在します。
ビニル壁紙は、このエンボスと発泡、印刷加工技術を駆使して独自のテクスチャーを生み出しています。
④特殊効果
アルミ箔やアルミ蒸着フィルムを用いて、これにパターンを加工して、光の反射の変化による効果を目指す壁紙や、パノラマ・名画壁紙の伝統を受け継いだ写真製版技術による壁紙植毛技術によってビロードやチンチラのようなテクスチャーを再現した壁紙など、独特の表現効果を目指した製品も多くあります。
機能面での効果 機能面での効果となると防火性はもちろんですが、その他にいろいろな機能が付加された製品があります。現在、「防かび」「表面強化」「汚れ防止亅「抗菌亅の4種の機能性に関しては、統一した試験方法て性能規定が設けられています。
(1)防火
壁装材が手軽でかつ効果的(仕上げの面で)な化粧材として普及する過程で、それを促進させる最も大きな要因の一つとして、この防火性があげられます。内装制限の適用される建築物に使用できる防火壁装材料は、建築基準法に定める国土交通大臣の認定を受けた法定防火材料で、不燃・準不燃・難燃の防火性能が、下地との組み合わせで決定されます。
(2)防かび
防かび対策には、下地、材料(壁紙、接着剤、下地調整剤等)、施工後のメンテナンスといった、3つのポイントがあります。いずれにしても現在まだ完璧といえる対策はありません。防かび壁紙は、かびの発生・繁殖を抑制するのであって、この壁紙を使用したから、かびが発生しないというものではありません。防かび壁紙の性能規定は、一般的なかび5種類に対して、菌糸の発育状態を、かび抵抗性試験方法(JISZ2911)に準じた試験方法で行ない、試験開始から28日経過後まで観察し、肉眼および顕微鏡下で発育が認められない壁紙に対して、防かび表示マークが表記されます。防かび剤として使われているのは、多くは有機窒素硫黄系化合物です。
(3)表面強化
物がぶつかったり、擦ったりすると、壁紙の表面が破れたり、傷ついたりします。表面強化の性能がある壁紙は、一般のビニル壁紙に比べ、引っ掻き傷がつきにくい、強度に優れた壁紙で、人の出入りの激しい場所に適しています。規定された試験方法によって得られた結果を、判定基準5段階に照らし、タテ方向およびヨコ方向とも、特に変化が見られないと判定された5級の壁紙と、多少表面傷が見られるが、比較的大きな表面層の破れなどが見られないと判定された4級以上の壁紙がこの規定に該当します。
(4)汚れ防止
壁紙表面に、汚れに強い特殊なフィルムをラミネートすることによって、付着した汚れを拭き取りやすくした壁紙です。性能を判定するための試験は、汚染物として、コーヒー、醤油、水性サインベン、クレヨンを付着させ、24時間放置後、コーヒー、醤油は水で、
水性サインペンとクレヨンは中性洗剤で拭き取ります。拭き取った1時間後に汚染用グレースケールを用いて、汚れがグレースケール4号程度のもの、等級でいうところの4級以上の試験結果を有した壁紙が対象となります。
(5)抗菌 抗菌加工した製品が、市場に出回っています。抗菌加工製品における抗菌とは、製品の表面における細菌の増殖を抑制することと、経済産業省「抗菌加工製品ガイドライン」によって定義されています。抗菌性壁紙の試験方法は、抗菌加工製品一抗菌性試験方法・抗菌効果(JISZ2801)に準じて行なわれ、試験に用いられる細菌は、黄色ぶどう球菌と大腸菌の2種です。試験結果で生菌が<10の値であれば、抗菌効果がある壁紙とされます。この他にも、消臭機能や、吸放湿性機能をもった壁紙ホルムアルデヒドを吸着するなど、メーカー独自に時代の要求に沿った新しい機能を備えた壁紙が出ています。単に一機能に留まらず、中には数種の機能性を併せ持っている壁紙もあります。また、製品自体にある程度、機能性を持った壁紙もあります.一例をあげるなら、吸・放湿性、結露を抑制してかびを発生しにくくしたり、室内の環境を快適にさせたりする調湿作用のことですが、織物壁紙や紙壁紙は、そのテクスチャーとともに、この面でも効果的です。断熱・吸音、壁紙だけで顕著な効果を期待することは困難ですが、ウレタンフォームを裏打ちした材料、高発泡品、厚手の織物壁紙も、効果があるとされています。また、ふとん張りや空気層を設けた特殊工法なども、それらの性能を持ちます。構造体の断熱工法と、これらの製品や工法を組み合わせれば、より効果的とされています。機能面での効果 機能面での効果となると防火性はもちろんですが、その他にいろいろな機能が付加された製品があります。現在、「防かび」「表面強化」「汚れ防止亅「抗菌亅の4種の機能性に関しては、統一した試験方法て性能規定が設けられています。
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